5、材料力学
 5−1、はりとたわみ
    はりとたわみ; たわみとは、「はりに作用する荷重によって、はりの中立面が変形し
      湾曲した量」のことである。(図1) いま荷重を W[N]、はりの長さをl「mm」、
      縦弾性係数をE[MPa]、断面二次モーメントを I [mm4]とすると、最大たわみ
      δmax は、次式で表される。
            δmax=β×Wl3/EI(mm)           (1)
       ここで、βは、はりの条件によって決まる定数であり、はりのたわみ係数とい
      う (表1)。なお、等分布荷重の場合には、その全荷重 wlW とすればよい。

          

□ かいせつ ● たわみ曲線、たわみ角、曲げ剛性

         たわみ曲線とは、「曲げモーメントおよびせん断力によって変形したは
        りの軸線の形」のことで、弾性曲線または弾性線ともいう。
         たわみ角とは、「たわみ曲線上の一点に引いた接線が、変形前のはりの
        軸線となす角」である(図2)。
         曲げ剛性とは、「はりの縦弾性係数と断面二次モーメントとの積」であ
        り、この値が大きいほど、はりは曲がりにくい。

□ 関連事項 ● せん断力によるはりのたわみ

         はりのたわみは、せん断力によっても生ずる。しかし、一般にはせん
        断力によるはりのたわみは、曲げによるたわみより小さいから考える必
        要はない。ただし、必要なときには、はりの中心線上のある基準点から
        の距離χにおけるせん断力によるたわみδは、χ= 0 におけるせん弾力
        によるたわみをδ0〔mm〕、はりの材料の横弾性係数をG〔MPa〕、せん
        弾力をF〔N〕、はりの断面積をA〔mm2〕として、次式により求める。
                (2)
         ここで、κは断面の最大せん断応力と平均せん断応力の比である(表
        2)。
        

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 5−2、衝撃荷重による応力
     衝撃荷重による応力; 衝撃荷重とは急激に加えられる荷重のことで、衝撃荷重によ
       る応力は、次の二つの仮定のもとで求める。
        (1) 物体に衝撃荷重が作用する場合、外部から与えられるエネルギー
         全部が物体のひずみエネルギーに変わるものとする。
        (2) 物体の衝撃荷重に対する抵抗がフックの法則に従うものとする。

□ かいせつ  ● 衝撃引張応力とその際に生ずる瞬間的最大伸び

         図1のように、長さ l 〔mm〕、断面積 A 〔mm2〕、
        縦弾性係数 E 〔MPa〕の一様断面の棒の上端を固定
        し、重さ W 〔N〕のおもりを h 〔mm〕の高さから落
        下衝突させ、棒に衝撃荷重を与えたとすると、この
        際棒に生ずる衝撃引張応力σは次式で表される。
          (1)
         また、この際に生ずる瞬間的最大伸び Δlは、静
        荷重 W 〔N〕による棒の伸びを △ls 〔mm〕とする
        と、次式で表される
        
 
          (2)
                   (3)
        

□ 関連事項  ● 衝撃荷重は受けるはりのたまみ

         図2のようなスパンl〔mm〕の単純支持ばりに重さW〔N〕のおもり
        h〔mm〕 のの高さから落下させて衝撃を与えたとき、衝撃断面における
        はりの最大たわみ δmax は次式で表される。
         (4)
         ただし、δは静荷重による荷重断面のたわみであり、はりの断面二次
        モ−メント I 〔mm〕、はりの縦弾性係数 E 〔MPa〕 とすると、次式
        で表される
         (5)
        
 

■■ 例 題 ■■■■ 図3のような上端を固定された直径30mm、長さ2mの丸棒がある。下端から150mm
            の高さにある重さ 2kN のおもりを棒に沿って落下させ、棒のした端にあるつばに衝突させ
            た。このときに棒に生ずる最大応力を求めよ。また、静荷重 2kN をかける場合と比較せよ。
            ただし、棒の縦弾性係数は E =108×103MPaとする。

         
 棒の断面積A

したがって、最大応力σは式 (1) より

            
ここで、この棒に 2kN の静荷重をかける場合に生ずる応力 σs
 
            
              であるから、衝撃によって生ずる最大応力は、静荷重の場合の約80倍になる。
 
 
 

 5−3、柱の座屈と端末係数
     柱の座屈と端末係数、最小断面二次半径、細長比; 座屈とは、「柱が、主としてその
     の応力でも折損する現象」のことである(図1)
      端末係数とは、「柱の端末固定条件を表す係数」のことであり、この値が大きい
     ほど、柱は曲がりにくい。

      最小断面二次半径とは、「柱の断面二次モーメント
     のうちの最小のものである最小断面二次モーメント
     Iminmm4〕、断面積を Amm2〕としたときに
     次式で表される値」である。
          (1)
      細長比とは、「柱の断面の寸法に対する長さの程度
     を表すもの」であり、いま、柱の長さを lmm〕と
     すると、細長比 λ は次式で表される。
                 (2)
      

□ かいせつ  ● 端末係数、細長比の値
         柱を支える端部には、表1のように、自由に移動できる自由端、柱の
        軸線の位置で自由に回転できる回転端、移動も回転もできない固定端 
        があり、これらの端末条件により、端末係数が決まる。

         
         柱は、断面寸法に対する長さにより、短柱,長柱、中間の柱に分類さ
        れ、鋼製で両端が回転端の場合、柱の細長比λは、次のような値となる。
         (1) 短 柱:  0 < λ < 50
         (2) 長 柱:  100 < λ
         (3) 中間の柱: 50 < λ < 100

□ 関連事項  ● 座屈長さ
         座屈長さ lk とは、「柱の長さ l〔mm〕 と端末係数 n の平方根との比」
         であり、相当長さともよばれ、次式で表される。
                            (3)
          ● 相当細長比
         相当細長比 λ'とは、「端末係数 n を考慮した細長比」であり、柱の長
         さを l〔mm〕、端末係数を n、断面二次半径を k〔mm〕 とすると、次式
         で表される。
            (4)
 

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柱の強さ;  柱の強さは、「柱が座屈する最小の荷重(座屈荷重)を柱の断面積で割
    った座屈強さの値」で表される。この座屈強さを計算する方法はいろいろあり、
    柱の長短によって使い分けられる。

    ●オイラ−の式
    オイラ−の式は、座屈応力が比例限度以下の場合に成り立つもので、
   細長比がおよそ110以上の長柱の場合に適用される。
    いま、柱の材料の縦弾性係数を E 〔MPa〕、柱の長さを 〔mm〕、柱の
   断面積を A 〔mm2〕、最小断面二次モ−メントを min〔mm4〕、端末係数
   (1)
   を n とすると、座屈荷重 W および座屈強さσは、次のオイラ−式か
   ら求められる。
     (2)
    ●ランキンの式
    ランキンの式は、座屈応力が比例限度をこえる場合に成り立つもので、
   もはやオイラ−の式を適用できないような短い柱に対して適用される。
   (3)
    いま、柱の材料によって決まる定数をσc〔MPa〕、柱の材料による実験
   定数をa、柱の断面積をA〔mm2〕,柱の最小断面二次半径をk min〔mm〕
   とすると、座屈荷重Wおよび座屈強さσは、次のランキンの式から
   求められる(表1)
   (4)

                   表1 ランキン式の定数
      
 

    ●ジョンソンの式
    圧縮の降伏応力σsを通り、σs/2においてオイラーの座屈応力の曲線
   に接するように定めた放物線のうち、σs/2 < σ < σs の範囲で適用され、
   縦弾性係数をE 〔MPa〕、柱の長さをl 〔mm〕、断面二次半径をk 〔mm〕
   とすると、座屈応力σは次式で表される。

      (5)
    ジョンソンの式は、端末条件により、lの代わりに座屈長さ lk を用い
   る場合がある。

■■ 例 題 ■■■■
            長さ2.5m、直径100mmの硬鋼製円柱の最小断面二次半径と細長比を求めよ。

         
         最小断面二次モーメントは
           
             また、断面積は、
           
             したがって、最小断面二次半径は式(1)より

           
             また、細長比は式(2)より
           

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5−4、組合せ応力
      組合せ応力とは、「物体が同時に二つ以上の外力を受けている時の応力状態」
   のことである。一般に組合せ応力は単純応力よりも大きい場合が多いので、部品
   の形状や寸法は、この組合せ応力によって決定する必要がある。
 1) 主面と主応力、主軸
   外力を受けている物体の応力状態は、一般に垂直応力とせん断応力を組み合わせ
   て考えなければならないが、せん断応力成分が0で垂直応力のみが働く様な向き
   の面が必ずある。この面を主面と言い、その面に働く垂直応力を主応力・その方
   向を主軸と言う。 一般に主面は三つあり、互いに直交するので、主応力も三つ
   あり、互いに直交する。
 (1) 3軸応力状態;3主応力とも0でない場合
 (2) 平面応力状態;3主応力の内一つが0である場合(図1

    最大主応力σ1、最小主応力σ2、主応力方向ψn
       (1)

       (2)
       (3)
    主せん断応力τ1、τ2
     (4)
    τ1、τ2の作用する方向は主応力σ1σ2と45°傾いた方向である。

 

    

 
 2) モールの応力円(図2
 
         (5)
 
 
 
          
 
 
■■ 例 題 ■■■■
   図3に示すような平面応力状態における主応力と主
   応力方向ならびに最大せん断応力を求めよ。
     
     式 (3) より主応力方向は
   
     
  したがって、主応力σ1の方向はx軸より反時計方
 向に25.67°だけ回転した方向である。
 
    次に、式 (1)、(2)より主応力は
   
     
   
   さらに、式 (4) より最大せん断力は
   
   なお、τmaxの方向ψは
     
 
 
 
3) 組合せ応力(その2)
  外力を受けることによって物体に応力が生ずる場合、平面応力状態であっても歪
  みは3軸方向に生ずる。
   いま、縦弾性係数をEMPa〕、横弾性係数をGMPa〕、ポアソン比を1/m
   、平面応力成分をσxMPa〕、σyMPa〕、τxyMPa〕とすると、3軸方向の歪み
  εx、εy、εy、およびせん断歪みγxyは次式で表される(図4)。
 
       (1)
       (2)
       (3)
               (4)
   ただし、εx : x 面のx 軸方向の垂直ひずみ
       εy : y面のy軸方向の垂直ひずみ
       εz : z面のz軸方向の垂直ひずみ
       γxy : x面のy軸方向に生ずるせん断ひずみ
 
   ● 主ひずみ
   せん断ひずみ成分が0で、垂直ひずみのみが生ずる面の垂直ひずみで
  ある。
       (5)
       (6)
   ● 平面ひずみ
   変形が一平面内だけで生ずる状態をいう。

   ● 主せん断ひずみ
   最大および最小のせん断ひずみのことである。
          (7)
   γ1,γ2とε1またはε2とのなす角 = 45°

□ 関連事項 ● モールのひずみ円
       主ひずみ(χ軸)の方向から任意の角だけ傾いた面の縦ひずみとせん断
      ひずみは、ひずみ円の円周上の一点の横縦座標から求められる。ただし,
      せん断ひずみは縦座標の2倍であることに注意する必要がある(図2)。
           

■■ 例 題 ■■■■
  直径14mmのJIS4号試験片を用いて軟鋼の引張試験を行った。40kNの荷重を加えた
 ときのひずみ状態をモールのひずみ円で示せ。ただし、縦弾性係数 E = 206 × 103MPa,

 ポアソン比1/m = 0.3とする。
 試験片の断面積A
  
 したがって、試験片に生ずる応力σ1
  
 また、縦ひずみε12
  
  

 

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